法圓寺

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第304回

令和2年11月1日

世界終末時計

世界終末時計

 皆様は世界終末時計という言葉を聞いたことがありますでしょうか?これは核戦争などによる人類の終末を午前0時になぞらえ、その終末までの残り時間を「0時まであと何分何秒」という形で象徴的に示す時計です。日本への原子爆弾投下から2年後の1947年に、アメリカの科学誌『原子力科学者会報』の表紙絵として誕生したものです。以後、同誌は定期的に委員会を設けて終末時刻の修正を行っています。すなわち、人類滅亡の危険性が高まれば分針は進められ、逆に危険性が下がれば分針が戻されることもあります。1989年10月号からは、核兵器からの脅威のみならず、気候変動による環境破壊や生命科学の負の側面による脅威なども考慮して、針の動きが決定されているのだそうです。これが2020年には昨年よりも20秒進んで、人類滅亡まであと100秒になりました。原因は、アメリカと北朝鮮や中国の対立、宇宙・サイバー空間上における軍拡競争の激化や気候変動に対する各国の関心の低さ等が原因だそうです。人類滅亡まであと100秒と聞くと、ぞっとしてしまいます。

「共命鳥(ぐみょうちょう)」

 さて『阿弥陀経』に「共命鳥」というお浄土の鳥がでてきます。この鳥は美しい羽毛をもち、きれいな声で鳴きます。体は一つですが、頭が二つあります。そういう体ですから、二つの頭はお互いに思い通りにならず、いつしか互いに憎みあうようになり、一方の頭が他の頭を殺してしまったそうです。ところが体は一つしかありませんので、頭を殺すことによって体も死んでしまい、結局は他の頭を殺した方も死んでしまったそうです。
 最近のアメリカと北朝鮮や中国の対立を見ていると、もし不測の事態が起きて、核戦争でも始まったらどうしようという恐怖を感じます。そのような事態になれば、今は敵だけではなく、地球自体を破壊し、結局自分達も生きてゆけなくなるでしょう。それはまさに「共命鳥」の説話と同じことになってしまいます。

いのちのぬくもりを大切に

 先ほど申し上げた愚かな事があってから、お浄土の「共命鳥」は「他を滅ぼす道は己を滅ぼす道、他を生かす道こそ己の生かされる道」と鳴き続けていると言います。これは鳥の姿に表された仏さまのみ教えです。私たち一人一人が地球上に生きる「共命鳥」なのです。他を力ずくで排除しようとすれば、自分自身も滅びてしまうのです。その「共命鳥」が頭二つのままに、しかも生き生きと生きていける世界、それが浄土の世界だと『阿弥陀経』は教えてくれています。浄土のはたらきをあらわす一つの言葉として、浄土には「共命鳥」という鳥がいると説かれているのです。私たちもいたずらに対立することなく、常に他のいのちとつながり、お浄土を願いながら、いのちのぬくもりを大切に生きて行きたいものです。