法圓寺

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第302回

令和2年9月1日

別れに深められる人生

法語カレンダー

 法圓寺で使っている法語カレンダーのお言葉に「出遇いに育てられ、別れに深められる人生」というものがあります。このお言葉を最初に読んだ時に、「ああ、その通りだなあ」と感じさせていただきましたので、このお言葉をいただいてお話させていただきます。

出遇いに育てられる人生

 考えてみれば、私たちの人生は、始まりからお育てをいただだく人生です。生まれるとすぐに、ご両親を始めご家族やご親族に出遇い、たくさんの愛情をいただき育てられます。学校に入学すれば、先生や同級生、先輩後輩と出遇います。先生からは、いろいろな事を教えられますし、友だちとは切磋琢磨しながら友情をはぐくみ、反発もしながら、自分とはどういう人間なのかということを教えられます。社会人になれば、上司や同僚、後輩などと出遇います。そこでは社会通念や礼儀、常識という、学生時代では教えてもらえなかったことを教えられます。家庭的には、結婚や出産を通して、家族を持つことの大変さと喜びを知ることになります。
 つまり、私たちの人生は、生まれてから死ぬまで、いろいろな方との出遇いを通して、お育てをいただく人生なのです。

別れに深められる人生

 ところが、年を取ってくると、そういった昔お世話になった方々とお別れする事が、だんだんと多くなってきます。では、先ほどの法語カレンダーのお言葉「別れに深められる人生」とは、どういうことでしょうか?
 私たちは、自分にとって都合の悪いことは素直にうなづけません。特に両親や友だちという身近な人に言われたことは、本当の事であっても反発してしまうのではないでしょうか?「何を言ってるんだ」、「わかっているよ」という具合です。しかし、その言われたことは、その方が亡くなってしまうと、初めて素直にうなづけるようになってくるのではないでしょうか?人生のいろいろな場面において、昔言われたことを思い出し、「あの時は素直に聞けなかったけれど、本当にそうだなあ」とうなづけてくるのです。その方と別れることによって、教えが胸に染みてくるのです。それが「別れに深められる人生」なのではないでしょうか?

供養とは

 お世話になった方、ご縁が深かった方とお別れするのは、本当に辛いことではありますが、その辛い別れを通して、昔聞いていた教えが胸に染みてくる。そのことによって、別れた方のお陰を、初めていただくことができるのではないでしょうか?「あなたのお陰で…」という世界が見つかることが、供養をするということにつながるのです。法語カレンダーのお言葉によって、また大切な事を教えられたように思います。

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