真宗佛光寺派 湖山 法圓寺

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法圓寺テレホン法話 第259回(平成29年3月作成)

「渡良瀬川(わたらせがわ)」

星野富弘さん

 皆さんは、星野富弘さんという方をご存じでしょうか?この方は中学校の体育の先生だったのですが、ある日部活をしていて、誤って首の骨を折ってしまい、首から下の感覚を失った方です。しかし、その方が口で筆を持って素晴らしい絵を描き、そこに私たちが気づかない世界の言葉を書いておられます。よくこの方の描いたカレンダーを目にすることがあります。

溺れかけた記憶

 星野さんが書かれたものの中に、「渡良瀬川」という一文があります。星野さんが小学生の時に、この渡良瀬川で溺れかけたことがあるそうです。必死になってもがいて、水を飲んで、死ぬ思いをされたそうです。その時に、水に流されて亡くなった子どもの話が頭の中をよぎったし、同時にいつも眺めていた渡良瀬川の流れる姿を思い浮かべたそうです。深い所は青々と水をたたえているが、それはほんの一部で、あとは白い泡を立てて流れている、人の膝くらいの浅い所の多い川の姿でした。その時に、星野さんは、「今、自分が流されている所は深い所だが、流れに身を任せていけば、必ず浅い所に行くはずだ」とひらめいたそうです。今までは、もといた場所に戻ろうと必死にもがいていた。それで川の流れに逆らって、ますます溺れそうになっていた。流れのままに流されていけば、浅い所へ行くのではないかと思い、流れに抵抗するのをやめて、流されていって足を降ろしたら、水は膝までしかなく助かったのだそうです。

動かない体から教えられる

 その当時のことを思い出して、星野さんは次のように書いています。「怪我をして全く動けないままに、将来のこと、過ぎた日のことを思い、悩んでいた時、ふと激流に流されながら、もといた場所に泳ぎつこうともがいている自分の姿を見たような気がした。そして思った。なにもあそこに戻らなくてもいいんじゃないか…流されている私に今できる一番よいことをすればいいんだ。その頃から、私を支配していた闘病という意識が少しずつうすれていったように思っている。歩けない足と動かない手と向き合って、歯をくいしばりながら一日一日を送るのではなく、むしろ動かないからだから、教えられながら生活しようという気持ちになったのである」。  私たちも、いろんな意味で思いがけない都合の悪いことに直面すると、元いた場所に戻ろうとして世を恨み、かたくなになっていくのではないでしょうか?そうではなくて、逆に今ある身体の事実から教えられていく。そこには、ないものを求めるのではなく、あるものを喜ばしていただく世界があります。一つの固定した立場から価値付けをして、自分の立場を固めていくのではなくて、自分に与えられているものを無条件にいただいてゆく。そこに柳のような、何ものにも妨げられない強さを感じます。

ご恩に感謝して…

 私の部屋に星野さんのカレンダーがあります。このカレンダーにはひまわりの絵が描いてあり、その絵に「風で折れたひまわりを 妻に頼んで花瓶に生けてもらった それが今日私がした いちばん大きな仕事だった」という言葉が添えてあります。この言葉を見ると、この心境になれるまでに、星野さんにはどれだけの苦悩があったのだろうかと思いますし、同時にご縁をいただいて生きる星野さんの強さを感じます。星野さんのように、ご縁をいただき、ご恩に感謝して生きたいものです。

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